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東京高等裁判所 昭和50年(行コ)13号 判決

一三号事件控訴人(被告) 東京都地方労働委員会

一四号事件控訴人(第一審参加人) 全日本ホテル労働組合連合会 外六名

被控訴人(原告) 大成観光株式会社

〔原審〕 東京地方昭和四七年(行ウ)第一四五号(昭和五〇年三月一一日判決、二六巻二号一二五頁参照)

主文

本件各控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴人ら代理人は、「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張及び証拠の関係は、原判決事実摘示のとおりであるから、それをここに引用する(ただし、原判決八枚目裏一〇行目「衝量」を「考量」と訂正する。)。

理由

一  当裁判所も、本件全資料を検討した結果、被控訴人の本訴請求は理由があると判断するものであつて、その理由については、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の理由説示と同一であるから、それをここに引用する。

1  原判決二八枚目裏三行目「参加人本人松本毅の」を「成立について当事者間に争いのない甲第六号証の一、第三二号証、乙第一号証の六、控訴人(第一審参加人)(以下「参加人」という。)松本毅、同清水賢優の各」と改め、六行目「それにもまして」の次に「控訴人(第一審参加人)ホテルオークラ労働組合(以下「参加人組合」という。)は昭和四五年六月一九日ころ約四五〇名の組合員をもつて結成されたばかりであつたから、」を加える。

2  三三枚目表一、二行目の全部を削り、三行目「ついては」を「ついて」と改め、四行目「べきものがあ」を削り、五行目「成立」の前に「前顕甲第六号証の一、」を、「第五号証」の次に「の一、第七号証」を、六行目「各一、」の次に「証人三沢久雄の証言により真正に成立したものと認められる甲第六号証の二、」をそれぞれ加え、三四枚目表六行目「規制している」の次に「こと、そのため、例えば、男子従業員は白いワイシャツを着用することを要し、女子従業員にあつてはカラーのマニキュアをしたり、ブローチ等を付けることも禁じられ、また、客が従業員に対し記念としてバッチなどを贈り、これを衣服などに付けさせた場合にも、ホテル側がその客に断つたうえこれを取り外させていた」を加える。

3  原判決三五枚目表九行目「休らい」とあるのを「休らぎ」と訂正し、同裏五行目の次に次の文章を加える。

「前記二の1ないし3及び三の事実に加え、前顕甲第五号証の一、成立について当事者間に争いのない乙第三号証の一、証人今田康夫の証言、参加人清水賢優尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すれば、参加人組合もまた、組合員がホテル内で勤務中リボンを着用して客に接することはホテル側及び従業員において日頃客に対して心掛け、また、努力している心のこもつたサービスをするということと相対立、矛盾するものであつて、被控訴人の経営するホテルの営業を著しく阻害することになるということを十分承知していたが、参加人組合の執行委員会はあえて本件リボン闘争を行うことを決定したこと、当時執行委員長であつた参加人清水賢優は休暇をとつたうえ、いわゆる三役である参加人兵動昭、同平林伸介、同渡辺哲雄及び同松本毅らと協議しながら本件リボン闘争を指揮したこと、しかし組合員総数約四五〇名のうち半数近くの者はリボンを着用しなかつたこと、ホテル側ではリボンを着用した組合員のうち客面に出る者についてはこれを控室に退かせるなどしてそのやり繰りをしたが、万全を期することができなかつたこと、そのため客からホテル側に対して非難が寄せられたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。」

4  原判決三五枚目裏六行目「ホテル業におけるいわゆる」を「本件」と改め、同「闘争は、」の次に「参加人組合において被控訴人の経営するホテル内で勤務中積極的にその営業を妨害する行為を続けていたものというべきであつて、」を加え、八行目「ホテル業の使用者」を「被控訴人」と、九行目「と解すべきである。」を「といわざるをえないが、他方、本件リボン闘争に参加した組合員の人数その他諸般の事情を考慮すると、被控訴人側においてロックアウトによつて右闘争に対抗することが許される状況にあつたとまでは認めることができないものといわざるをえない。」とそれぞれ改め、一〇行目「本件リボン」の前に「そうすると、」を加え、同「まえにみたとおり」から三六枚目表一行目「ほかならないから、」までの全部を削る。

二  以上の次第で、被控訴人の本訴請求を認容した原判決は相当であるから、本件各控訴はこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条第一項本文を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 枡田文郎 福間佐昭 古館清吾)

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